毎年5月恒例の團菊祭昼の部観劇に行きました。
毛抜を見てみたいという気持ちが以前からあったので、中村屋の新宿大歌舞伎を観劇した翌日に歌舞伎座へ足を運びました。
目的の毛抜は、謎解きとても面白く拝見しました。最初の演目おしどりも、悲しい話ではありますが綺麗な衣装で踊る姿がとても素敵でした。幡隨長兵衛は以前見たことのある演目だと途中で気づく始末、演じる役者さんが違うとまた違った印象を受けます。
毛抜
四世市川左團次さんの1年追善狂言として、息子さんの男女蔵さんが粂寺弾正を演じました。左團次さんは、とてもお茶目で面白い役者さんという印象があります。
さて、左團次家で大切にされているという毛抜のあらすじを紹介します。
ザクッとあらすじ
小野小町の子孫である春道の屋敷では、家宝の小町の短冊が盗まれ、さらに姫君の錦の前が原因不明の病で寝込んでいます。
そんな中、姫君の許婚である文屋豊秀の家臣である粂寺弾正が様子を見にやって来ます。
姫の奇病は、逆立つ髪でした。これを見た弾正は、春道に面談を申しでて、待っている間に腰元に色目を使うものの断れ、毛抜を始めます。
毛抜を置いた時に毛抜きがひとりでに動き出したことから、不思議に思い煙管(きせる)や小柄(こづか・小さい刀)で試したところ、小柄は反応するが、煙管は反応しない。合点の行く弾正。
弾正が錦の前の髪飾りを取るように伝え、姫が髪飾りを取ると髪は収まります。そして槍を手に持ち天井をつくと、磁石を持った忍者風の男が落ちてきます。
この病が玄蕃の仕業であることを見抜き、両家の縁談を壊そうとする陰謀を暴きだして勤めをおえて、意気揚々と帰っていく。
毛抜の感想
なぜよそ様の家で毛抜?逆立ってる髪の毛のや、毛抜が大きくなって踊るさまや、家の外にあった槍、落ちてきた男の磁石、それは、普通はないだろうという滑稽さがとても面白いです。
粂寺弾正の、謎解きの様子、腰元に手を出すところ、見得、カッコよさと茶目っ気のある姿がとても良かった。
最後に幕が引かれ、花道でセリフを言って去っていく演出(幕外の引込み)で終わりだったのですが、團十郎さんが幕のところに出てきて座っているのを見てなんだ?とびっくりしました。
ちらしに後見團十郎とあったので、見守るという意味だったのかな・・・
おしどり
松也さん、尾上右近さん、萬太郎さんによる舞踊
「おしどり」と通称される本作は、河津と股野が相撲の起源や技に託して恋争いを踊る「相撲」と、引き裂かれた鴛鴦の夫婦の狂おしい情念を見せる「鴛鴦」の上下巻で構成されます。
引用元:歌舞伎美人
相撲の場面では、萬太郎さんの声が聞き取りやすくていいなと思い、おしどりの場面では衣装が綺麗で、おしどりとして舞う姿が印象に残っています。
ストーリーは悲しいのですがとても華やかな舞台でした。
歌舞伎の演目って多くて、だいたいい見るのが初めてという場合が多いです。
おしどり見ることができて良かったなと幕が引かれた後に思う綺麗さがありました。ぶっかえり(着ている衣装にしかけがあり、糸を引き抜いて、ガラッと変わります。本性をあらわすときに用いられます)も良かったです
花道のすっぽんから出てくるのは人でない何かなので、今回右近さんが出てきた時、おしどりの化身なんだなということがわかります。歌舞伎のお決まりの演出を覚えておくと、楽しみが増えます。
幡随院長兵衛
幡随院長兵衛は、江戸時代に浅草に住み、俠客(弱きを助け強きをくじく人)の元祖と言われています。
大勢の客で賑わう江戸村山座。「公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」が演じられる舞台に酒に酔って乱入した男を、江戸随一の俠客、幡随院長兵衛が追い払います。その様子を桟敷で見ていたのは、旗本の水野十郎左衛門。水野率いる白柄組と長兵衛を親分とする町奴たちはもとより犬猿の仲で、水野が長兵衛を呼び止めると、一触即発の事態に。騒動の後、水野の屋敷に呼ばれた長兵衛は、遺恨を晴らそうという水野の罠と知りながらも誘いを受け入れます。引き留める家族や弟子に頼みを言い残すと、長兵衛は水野の屋敷へ一人で向かい…。
引用元:歌舞伎美人
どこかで見たころがあるなぁと思いながら見ていて、はっと気づく。平成中村座で獅童さん長兵衛で見たんだ!平成中村座の桜席で役者さんを近くに感じながら迫力と長兵衛の漢気にドキドキしてた。獅童さんかっこよかった。
團十郎さんの長兵衛客席通路から出てきて、凄い拍手が起きてた。
今更だけど團菊祭って?
5月の歌舞伎座の興行は團菊祭と銘打って行われています。
これは、明治時代に活躍した九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の功績をたたえた興行になります。團十郎さんと菊五郎さんの文字をとったもので、市川家と尾上家で公演が行われます。
ちなみに今の團十郎は十三代、菊五郎さんは九代になります。
まとめ
2024年歌舞伎座團菊祭昼の部の感想を記事にしました。
歌舞伎の演目は数が多いので、始めてみる演目が多いです。同じ演目をみることになっても、役者が違うと、見え方が違ってきて興味深いです。
歌舞伎を楽しむ方が増えるといいなと思います。
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